LOVE BLUE
~地球の未来を~
徳島県海部郡美波町日和佐小学校 環境教育授業
日程平成29年9月29日(金)〜 10月1日(日)
9月29日(金)から10月1日(日)の3日間、徳島県海部郡美波町 日和佐港で水中クリーンアップ活動が行われました。昨年、及び一昨年は美波町立由岐小学校で環境教育授業も実施しましたが、今年は美波町役場よりご要望をいただき、日和佐小学校での実施が決定。5年生の授業と連携する形で、つり環境ビジョンコンセプトに基づくLOVE BLUE事業の一環として、小島忠雄LOVE BLUE委員長(一般社団法人日本釣用品工業会 顧問)による環境教育授業を行いました。
海は世界とつながっている。
ゴミを捨てない気持ちを育てる
 山の緑と海の青さのコントラストが続く、徳島県の海岸線。その中でも、美波町の大浜海岸はアカウミガメの産卵地として有名です。昭和42年(1967年)にはアカウミガメを含めた大浜海岸が国の天然記念物に指定されましたが、そのきっかけを作ったのは、実は地元の子供たちでした。大浜海岸からほど近い日和佐中学校でウミガメの研究が始まったのは、昭和25年(1950年)のこと。昭和35年(1960年)には町立水族館が完成し、町をあげてウミガメ研究や保護に力を入れてきたのです。
今回、水中クリーンアップ活動が行われた日和佐港に隣接する大浜海岸。「大浜海岸のウミガメおよびその産卵地」として国から天然記念物に指定され、さらに日本の渚百選にも選定されています。
 今回、水中クリーンアップ活動が行われたのは、その大浜海岸の隣に広がる日和佐港です。初日には、地元の日和佐小学校で小島忠雄LOVE BLUE委員長による環境教育授業が行われました。
 昨年、一昨年と実施した由岐小学校に続き、徳島県内での環境教育授業は3回目。日和佐小学校での環境教育授業は、5年生22人が参加されました。

 美波町立日和佐小学校の大西育郎校長は、同校で環境教育授業が行われる意義について、お話ししてくださいました。
「本校のすぐ近くには、ウミガメの産卵で有名な大浜海岸があります。毎年5月30日には『ゴミゼロの日』として、日和佐小学校の全児童と日和佐中学校の全生徒で清掃活動を行うなど、環境や自然について子供たちが考え、学ぶ機会を設けています。子供たちの環境意識が高いこともあり、由岐小学校で行われた環境教育授業を今年は本校で実施していただけるようお願いしました。」
日和佐小学校の大西育郎校長。美波町の大浜海岸が大好きで、東京から友人が来ると必ず大浜海岸に案内しているそうです。
 午後の授業開始のチャイムが鳴ると、5年生の教室ではいよいよ環境教育授業の始まりです。
「地球には、海と陸地がありますね。では、地球の何割が海なのか、知っていますか?」
 小島委員長がそう切り出すと、即座に「70%くらい!」と答えたのは最前列の男の子です。
「正解! よく知っているね。海は70%で、陸地は30%です。ところでその海は世界中につながっています。どこかの国でゴミを捨てるとどうなりますか。そう、ゴミは他の国に流れていってしまいます。海にゴミを捨てると、身近な海を汚すだけでなく、思いもかけない人たちに迷惑をかけることになるんですね」
 さらに小島委員長は続けます。
「そして海には魚や貝など多くの生き物たちが住んでいます。気持ち良く住めるように海をきれいにしないと、海から多くの恵みを受けている人間も生きていけなくなってしまいます」
小島委員長による環境教育授業の様子。小島委員長が「釣りをしたことがある人」と尋ねると、海辺の町とあって、多くの児童の皆さんが元気よく手をあげていました。
日和佐小学校は、平成22年に新校舎となりました。開放的な美しい校舎です。
 環境教育授業では、海の映像を使った説明も行われました。水中クリーンアップ活動をおこなうプロダイバーがその日の朝、撮影した映像です。画面いっぱいに映し出された海に、さっそく「日和佐や!」と弾んだ声が上がります。
カメラは海上から海中へと移動し、海の底を映し出します。
「あ! 魚がおる!」「空き缶や」「ペットボトルもある!」
 子供たちは、カメラの前を通る魚に歓声をあげ、海の底のゴミを見つけると、とっても残念そうな表情に。映像を見終え子供たちに意見を求めると、積極的に手があがり「私たちも気をつけて、海にゴミを捨てないようにしたいです」と感想を話してくれました。
 授業のまとめとして、小島委員長が5年生の皆さんに言葉を贈りました。
「陸から見ると海や川の中には何もないように見えますが、実際には魚もいるし、いろいろな生き物たちが暮らしている。そして残念ながら、海や川の底にはゴミもあります。だから私たちは5年前から海や川の中の清掃活動を始めました。川から海へ水は流れ、そして海は世界とつながっていますから、みんなが少し気をつけるだけで、世界中の水辺がきれいになるんです。しっかり勉強して、自然を大切にできる、いい大人になってくださいね」
「海や川は世界とつながっています。だからこそ、一人ひとりがゴミを決まった場所にきちんと捨てるだけで、水辺はきれいになるのです」と小島委員長。
ダイバーが引き上げた意外なものに
改めて海の環境を考える児童の皆さん  
 
 環境教育授業の後半は、日和佐港で行われている水中クリーンアップ活動の見学です。日和佐港ではダイバーが海に入るところ、無線を使い水中のダイバーと陸上スタッフが安全確保のため交信するところ、ゴミを引き上げるところ、という3つの項目を見学しました。
「ダイバーは、海の中でも話をすることができます。また、装着しているヘッドフォンで陸上からの無線を聞くこともできます。背負ったタンクには空気が入っていて、およそ60分間潜ることができます」
 ダイバーが水中で安全に活動できる理由を、説明します。
 そして、岸壁に並んだダイバーが陸上スタッフの合図で順番に海に飛び込むと、児童の皆さんは真剣な顔で海を見つめていました。「泡が出ているから、あそこにダイバーさんがいるのかな」と尋ねるなど興味津々です。
日和佐港で水中クリーンアップ活動を行うプロダイバー。その装備について説明を受けてから、ダイバーが安全に海に入っていく様子を見学しました。
 水中のダイバーとの無線交信体験では、クラスを代表して2名が質問しました。水中クリーンアップ活動スタッフから「ゆっくりしゃべってくださいね。そうすると、ダイバーによく聞こえます」とアドバイスを受け、交信スタートです。
男子「こんにちは。海はどれくらい深いですか?」
ダイバー「こんにちは。水深はおよそ3mです」
男子「温度はどれくらいですか?」
ダイバー「水温は25度くらいです」

 2人目も、気になっていることを積極的に聞いていきました。
女子「海の中に人工的なものはありますか?」
ダイバー「今、目の前にマグカップがあります」
女子「魚以外の生き物はいますか?」
ダイバー「イソギンチャクがいます」
 水中との交信を、他の子供たちも好奇心いっぱいの顔で見つめます。スタッフが「他に、水中のダイバーに聞きたいことがある人はいますか?」と尋ねると、競うように手があがります。
「どんな種類の魚がいますか?」という質問に、ダイバーから「毒のある魚が今、目の前にいます」という答えが。すると、「ゴンズイかな?」「キタマクラかな?」と、子供たちの間ですぐに名前があがりました。
「目の前にはどんなゴミがありますか?」「どんな生き物がいますか?」など児童の皆さんは、ダイバーに質問を投げかけ、普段体験することのない水中との交信を行いました。
 水中との交信を体験した後は、いよいよゴミの引き上げです。ダイバーの合図で水中のゴミを陸上に引き上げた陸上スタッフが、ゴミを一つひとつ子供たちに見せながら、仕分けしていきます。見守る子供たちは「空き缶だ!」「ハンガーや!」「オーブントースターまで!? もったいない!」と声を上げつつ、ゴミの内容を記録していきます。
ダイバーが集めたゴミは陸上で分別されます。子供たちはその内容を記録していました。
 さらに、大きなゴミを引き上げるためのクレーンが登場すると、子供たちからどよめきが起こりました。「何が上がってくるんだろう?」と見つめるみんなの前に現れたのは、2本のタイヤとパイプ椅子。「海にタイヤなんてあったんや!」と驚きの声が上がりました。

「今、出てきたタイヤは小さい方ですか?」「今日は缶がたくさんありましたが、他にはどんなゴミが多いですか?」「危険なゴミはありますか?」と質問は尽きません。スタッフも、「直径2mくらいの大きなタイヤが出てきたこともあります」「缶以外に、ビニール袋があることが多いですね」「割れた瓶なども多いですね。取り扱いには十分注意して、安全に作業しています」と答えていきました。
クレーンで引き上げられたのは、タイヤと椅子。身近な場所である海から、思いもかけないものが現れたことに、児童の皆さんは、驚いている様子でした。
児童の皆さんから次々と質問の手があがり、身近な海で行われる環境保全活動である水中クリーンアップへの関心の高さを感じられました。
 今回見学を行った5年生の担任 野田知栄子先生は次のように話してくださいました。
「日和佐小学校ではゴミゼロの日の清掃活動を始め、低学年の時には大浜海岸で砂の地上絵を作る体験をします。また、地元では夏のウミガメ産卵シーズンになると、ウミガメ産卵情報が町から発信されるため、家族で産卵を見学に行ったり、学校の授業として見学に行ったりすることもあります。そのためこの地域の子供たちは、『ウミガメが来る海をきれいにしなければ』という意識が強く、自然に対して非常に敏感だと思います」
5年生の担任、野田知栄子先生。ご自身も地元日和佐の出身で、大浜海岸をはじめとする地域の自然に親しみを持たれています。
地元メディアの皆さんも環境授業の取材に駆けつけてくださいました。写真は、徳島新聞の記者さんの取材の様子。
 環境教育授業も、いよいよ終わりに近づいてきました。「今日聞いたこと、見たことを、ぜひ今後の学習に生かしてください」と語りかける小島委員長に、児童の皆さんから「ありがとうございました!」と元気な声でお礼がありました。

 プロダイバーによる水中クリーンアップ活動は、これからも引き続き地域の皆様のご要望を基に実施する社会貢献事業として、水辺の環境保全に取り組んでまいります。そして未来を担う子供たちのお役に立てるよう、プロダイバーの水中クリーンアップ活動を題材とした環境教育授業も積極的に行ってまいります。
参考/美波町HP「ウミガメについて」
次回をお楽しみに
2017.6.30
Special Interview 〜 茨城県龍ケ崎市 中山一生(なかやま かずお)市長 〜
Special Interview
~ 茨城県龍ケ崎市 中山一生(なかやま かずお)市長 ~
茨城県龍ケ崎市役所市長室
日時平成29年5月12日 16:00〜
群馬県と栃木県の県境にある皇海山に源を訪ねる渡良瀬遊水地に続き涸沼(ひぬま)が平成27年(2015年)5月にラムサール条約の登録湿地となり、平成30年(2018年)には霞ヶ浦が世界湖沼会議の開催地となることもあり、世界的な注目を浴びている茨城県。LOVE BLUEの事業にも早期から理解を示してくださり、これまでも県内で数々の活動をさせていただきました。同県下の、龍ケ崎市牛久沼でも、つり環境ビジョンコンセプトに基づくLOVE BLUE事業、プロダイバーによる水中クリーンアップ活動を数回に渡り実施しています。そこで、これまでのLOVE BLUE事業にご理解・ご協力いただいたことへの感謝をお伝えするため、平成29年5月12日(金)、龍ケ崎市 中山一生市長を小島忠雄LOVE BLUE委員長(一般社団法人日本釣用品工業会 顧問)が表敬訪問いたしました。
LOVE BLUEとも連携し
牛久沼の未来を考えていく
本日はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございます。茨城県とは私どもの事業開始当初からご縁をいただき、龍ケ崎市では牛久沼の水中クリーンアップを行わせていただいております。活動地域に偏りが出ないよう、公平な社会貢献を目指して本事業を始めて約5年。お陰さまで少しずつ認知をいただいております。ぜひ今後ともご協力よろしくお願い致します。
龍ケ崎市でも毎年活動を行なっていただき、本当に有り難く思っております。市内では牛久沼もそうですが、小貝川と中沼、小野川なども釣場として人気のスポットでございます。以前は観光協会主催の釣り大会を開催していたこともあり、釣り人の誘致も積極的に行なってきました。その一方ではマナーの問題もございまして、放置された針や糸を問題視する方がいらっしゃるのも事実です。LOVE BLUE事業を通して、釣り場のマナー向上や水辺の環境保全をPRしてくださるのは、私どもも嬉しい限りでございます。
活動をご理解いただける行政の皆様との連携なしには、我々の事業は成り立ちません。改めてお礼申し上げます。
市としてはちょうど今、牛久沼の未来のために動き出したところでございます。これまで牛久沼は農業水利としての役割が大きく、あれだけ美しい自然環境を残した沼なのに、訪れた方々がゆっくり過ごせる場所がありませんでした。そういった状況を改善するため、水辺に道の駅を作る整備を進めているところでございます。完成すれば、釣り人の方々には駐車場としてもご利用いただけますし、また多くの方々に足を運んでいただけるきっかけになると思っております。
それは素晴らしい取り組みですね。何かご協力できることがございましたら、ぜひお申し付けください。関東圏にはたくさんの釣り人がいますが、残念ながら釣り場は減ってきてしまっております。釣り場の保全にご理解いただける行政の皆様とも連携し、よりよい環境を作っていきたいと思っております。
LOVE BLUE事業への理解を示してくださった中山市長。表敬訪問では終始和やかに、さまざまな意見交換をさせていただきました。
釣り人からも愛される龍ケ崎市
水辺の保全にも積極的に取り組む 
 
水中クリーンアップ活動は、今年で5年目ですよね。
はい。環境保全に重点を置いておりますので、釣り場以外の場所でも一生懸命に取り組ませていただいています。これまでには、海面の港湾や漁港などからのご要望、内水面の琵琶湖や霞ヶ浦などをはじめとした湖沼・河川などからのご要望も頂いております。水中クリーンアップ活動は社会貢献事業として取り組みを進めておりますので、各地の管理者や利用者のみなさまからのご要望にお応えするよう、環境保全を第一に進めています。
牛久沼は河川区域ということもあり、茨城県の竜ケ崎工事事務所さんとも、大変ありがたいな、という話をしていたところです。いろいろと清掃いただき、ありがとうございました。きっと、我々が想像もしないようなものまでが不法投棄されていることもあるのですよね。
どうしてこんなものがというのも現実でございますが、選りすぐりのプロダイバーに潜っていただいているので、お陰さまで、事業開始以来、現在まで無事故でやらせていただいています。期間としては3日〜5日間程度を基本として、1日4回、4名のダイバーが年間通して潜水しております。ところで、龍ケ崎市にお住まいの釣り好きの方々は、海釣りにも行かれるのですか?
はい。車で鹿島まで1時間、房総までも1時間半なので、みなさん朝早くから行かれているようですね。私の知人にも、余生は釣りが楽しめる場所でということで、リタイアしてから、こちらに越して来た方もいらっしゃいますよ。奥が深いですよね、釣りの世界は。日本の竿が鑑定番組にときどき出てきますが、びっくりするような値段が付きますよね。骨董的な価値もさることながら、釣りはまさに文化ですね。
そうですね、太公望といわれる時代から、今でも釣りが好きな方は本当に熱心ですね。この文化が少しでも皆さんに愛されて、伸びて行くことを願うばかりです。そのために、我々ができることを少しずつ恩返しさせていただこうと取り組んでいます。そういえば、牛久沼は鰻で有名だったように記憶していますが、現在も鰻は獲れるのでしょうか?
遡上はしてきているようなので、個人で釣って楽しまれている方はいらっしゃるかもしれませんが、地鰻を提供するお店はもうありません。昔は沼の周りに鰻店がずらっと並んでいたのですが、今では3、4軒になってしまいましたね。そういった牛久沼が育んだ文化、今ある環境を次世代に残していくために、隣接する5市とも協働して沼の今後を考えていこうという話になっています。
そうやって大勢の方々が一緒になって環境保全を考えているのは、本当に素晴らしいことですよね。
はい。牛久沼では水辺のスポーツも楽しめますし、豊かな環境資源を守っていきたいと思っております。
我々もまた一生懸命頑張りますので、今後ともよろしくお願い致します。本日はお忙しいなか、お時間をいただきまして、ありがとうございました。
水中クリーンアップ活動を始めとするLOVE BLUE事業は、龍ケ崎市はもちろん全国で喜ばれる事業だと思いますので、ぜひ頑張っていただければと思っております。LOVE BLUEっていうのが良いですよね。さわやかで清冽なイメージがします。こちらこそ、本日はご丁寧にありがとうございました。
中山一生(なかやま かずお)龍ケ崎市長
平成22年1月龍ヶ崎市長就任(2期目)
小島忠雄LOVE BLUE委員長
一般社団法人日本釣用品工業会 顧問
 
○表敬訪問を終えて・・・
牛久沼の未来を考えるため、連携した保全活動に取り組む中山市長。私たちが取り組む社会貢献事業LOVE BLUE事業を高く評価いただき、お忙しいなか、表敬訪問にも快くご対応いただきました。改めて感謝申し上げます。今年度も平成30年3月に牛久沼の水中クリーンアップ活動を実施させていただく予定です。今後とも、龍ケ崎市とのご縁を大切にしながら、地球環境保全、持続可能な自然環境構築のために活動を続けていきたいと思います。
次回をお楽しみに
2017.6.15
神奈川県藤沢市片瀬漁港
LOVE BLUE
~地球の未来を~
神奈川県藤沢市片瀬漁港
日時平成29年4月25日(火)〜 29日(土)
東海道六番目の宿場町・藤沢宿としての歴史をもつ神奈川県藤沢市。現在は、人口42万人を有する都市であるとともに、江ノ島や片瀬海岸西浜・東浜海水浴場や辻堂海水浴場など、海沿いを中心とした観光スポットでも人気を集めています。なかでも片瀬漁港は、湘南ブランドの海産物でも注目を集めている漁港です。その片瀬漁港で昨年に続き、つり環境ビジョンコンセプトに基づくLOVE BLUE事業のひとつ、プロダイバーによる水中クリーンアップ活動を実施いたしました。
地元のご要望を受け、水中クリーンアップ
 まだ肌寒さが残る4月下旬、水中クリーンアップ活動が行われたのは、相模湾に面した片瀬漁港です。漁船を筆頭に、釣り船やプレジャーボート、さらには釣り人やサーファー、観光客まで、多くの人や船が行き交う場所です。
 観光スポットとして紹介されることも多い相模湾ですが、とても豊かな漁場として、近年注目を集めています。なかでも、片瀬漁港に揚がる生しらすは、これを目当てに訪れる観光客も多いほど。そしてさらに今話題となっているのが、片瀬漁港を拠点とする藤沢市漁業協同組合が手がけ、ブランドとなった「湘南はまぐり」です。県内で唯一、藤沢市漁業協同組合だけが手がけるはまぐりは、大きさが7cm以上もあり、「肉厚でダシがたっぷり出る」と言われています。

 さて、そんな活気ある片瀬漁港は、正面に江ノ島を臨み、片瀬海岸西浜海水浴場と境川に挟まれるような形で作られています。昨年度は、漁港の東側のご要望をいただき本年度は西側のご要望をいただきました。
片瀬漁港は、観光地として有名な江ノ島の目の前にあります。江島神社に続く参道では、当日も多くの人で賑わっていました。
今回は、片瀬漁港の西側で水中クリーンアップ活動を実施させていただきました。
 片瀬漁港の水中クリーンアップ活動にあたっては、昨年度より、管理者である藤沢市、利用者の藤沢市漁業協同組合の皆様と綿密な打ち合わせを重ね、地元の皆様のご要望にお応えする形で、実施させていただきます。地元の皆様との事前の連携をしっかり行うことで、水中クリーンアップ活動を安全かつスムーズに実施できるのです。
LOVE BLUEの横断幕と幟の設置も、地元の皆様のご理解とご協力をいただいています。
 作業員は、ダイバーと陸上スタッフともに、高度な専門スキルを身につけたプロばかり。地元の皆様方にご信頼いただくために、水中クリーンアップ活動では、「安全第一」で作業を行い、水辺をきれいにすることが何より重要です。人や船が行き交う港の中でプロのダイバー、陸上スタッフは、安全に作業を行うため、作業員同士が常に連携を取りながら、エアタンクやマスク、無線などの通信機器などの最終チェックを行います。

 ドライスーツに身を包んだ4名のダイバーは、陸上スタッフのサポートを受けながら、ダイバー同士、ダイバーと陸上スタッフが、常に交信できる無線機がついたマスクを装着し、エアタンクを背負いました。地元の皆様にご要望いただいた清掃場所に整列し、スタンバイ完了です。
 この日はちょうど大潮で、1本目の潜水作業が引き潮のタイミングと重なり、港内の作業を行う場所の水深は1.2mほど。安全のため、ダイバーはハシゴを使って海に下りることになりました。
「前方よし!」
 陸上スタッフが見守るなか、ダイバーたちは順番に大きく元気な声で安全確認を行い、エントリーしていきます。全員が海に入ると、水中クリーンアップの現場リーダーがダイバー1人ひとりと交信して水中での安全を確認し、作業開始となります。
水中クリーンアップ活動は、ご要望をいただいた皆様に信頼いただくため、常に安全最優先作業を行っていきます。
海を愛する組合長の「ありがとう」  
 1本目の潜水作業も半ばを過ぎた頃。海中にいるダイバーからの無線を受けて、陸上スタッフが数本のロープを用意し、先端にフックのついたロープをダイバーの手元に下ろしました。ダイバーはごみを入れた袋をフックにかけ、引き上げるよう指示を出します。そして、もう1本のロープを陸上から下ろしてもらうと、再び海中へ。ダイバーが陸上に合図を送ると、3人の陸上スタッフが息を合わせてそのロープを引っ張り始めました。海中にあった大きなタイヤを引き上げます。
 しかし、内部に水や泥が溜まったタイヤは、非常に重く、陸上スタッフが力をあわせながら海水の浮力をも利用して引き上げます。
水中からごみを引き上げる際には、周囲を汚さないよう、ブルーシートを敷きます。
 順調に作業が進み、4本目の潜水作業が始まった頃、片瀬漁港を拠点とする藤沢市漁業協同組合組合長、葉山一郎さんが作業を視察されました。
 藤沢市漁業協同組合は片瀬漁港から1.5kmほど西を流れる引地川の河口から辻堂までの海域でシラス漁やはまぐり漁、地引網漁を行っています。葉山さんは、この地域の海と自然、地形から潮の流れまで全て知り尽くしています。
「この浜は、砂の粒子がちょうどいい。粒子が大き過ぎず、小さ過ぎないから、おいしくてきれいなはまぐりが育つんだよ。それだけじゃない、砂の質がいいから亀が産卵に来るんだ。この浜が、素晴らしいって証拠さ。海は漁師だけじゃなく、地域の財産。この浜はサーファーとも共存できているし、豊かで美しい海と浜を守ろうという地域の意識が高い。だからこそ今回、こういう形で皆さんに漁港をきれいにしてもらって、本当にありがたいと思っている。海の中は見えないし、自分たちではなかなか掃除できないからね」
藤沢市漁業協同組合 組合長 葉山一郎さん。今回の水中クリーンアップ活動へのご理解とご協力をいただき、当日は活動に対する感謝の言葉もいただきました。
 そう話してくださった葉山さんは、ダイバーの動きを見守ります。満ち潮の海から陸上スタッフが力を合わせ巨大なタイヤを引き上げると、目を見開きました。
「今の船は船底がV字のキール式だからさ、あんな大きなタイヤにぶつかったら、スクリューが曲がっちまう。皆さんに引き上げてもらえて、本当にありがたいよ。それに実際にこうやって海の中にあったものを見ることができれば、俺も、組合員以外の船にも注意すべきことを伝えやすくなる。助かるよ」
ダイバー、陸上スタッフが連携しタイヤを引き上げます。葉山組合長もその様子を見守っていました。
 葉山さんは「ありがたいね」と繰り返し、無事に作業を終えた作業員を労ってくださいました。
 地元の皆さんが大切に守り続ける片瀬の浜と海。そのような場所の清掃を地元の皆様のご要望にお応えしながら、この日の作業も安全に終えることができました。
 これからも、水中クリーンアップ活動を通じて、地域の財産である海をきれいにするお手伝いをさせていただき、水辺の環境保全に取り組んでまいります。
水中クリーンアップ活動を安全に行うために
水中クリーンアップ活動を安全に行うために
水中クリーンアップ活動を行う上で最も大切なのは、「安全に作業を終えること」。安全第一で作業を進めることが、社会貢献事業として実施するプロダイバーによる水中クリーンアップ活動の信頼につながります。そこで、高い専門スキルと十分な経験を兼ね備えたダイバーと陸上スタッフのさまざまな取り組みを数回に分け、ご紹介します。
第1回 朝のミーティングと危険予知活動
 プロダイバーによる水中クリーンアップ活動において、朝一番に必ず全員で行うことがあります。それは「ミーティング」と「危険予知活動」です。
 「ミーティング」では、その日の作業内容や作業水域での注意事項を確認するほか、作業員一人ひとりの健康状況をチェックします。作業を安全に行うために最も重要なのは、作業員全員が万全の体調であること。作業員は、自ら健康管理を行うことはもちろん、作業開始前に改めて全員で声を掛け合い体調の確認を行います。
 その後、作業に必要な機材を揃え、準備が整ったら「危険予知活動」を行います。これは、作業員一人ひとりが作業場所の状況やその日の天候などから起こり得る危険を想定し、全員でその危険を防ぐための対策を議論しあうというもの。

 このような「ミーティング」「危険予知活動」を行うことで、安全対策を万全に整え、無災害で水中クリーンアップ活動をすることが、地元の皆様に信頼していただける社会貢献事業につながると考えます。

次回をお楽しみに
2017.3.21
鳥取県境港市境港
LOVE BLUE
~地球の未来を~
鳥取県境港市境港
日時平成29年2月14日(火)〜 18日(土)
長年に渡り、生クロマグロとカニの水揚げ量で日本一を誇る、国内有数の水産都市、境港市。海外からの船も多く寄港する国際貿易都市でもあります。そして美保湾に面した弓ヶ浜には、「日本の渚百選」や「日本の白砂青松100線」に選ばれた美しい砂浜が広がっており、境港市はまさに風光明媚な港町です。その境港市の発展を支えてきた境港(さかいこう)で、鳥取県初となる水中クリーンアップ活動を実施いたしました。今回は、その様子をレポートいたします。
桟橋での活動に、
地元の方々からいただいた感謝と応援
 江戸時代の後半、北前船の寄港地として交易船が行き交った境港。鳥取藩の米を始め、伯州綿やたたら鉄といった特産品が積み出された、歴史ある良港です。境港には文化1(1804)年に御廻米役所、文久1(1861)年に御手船役所が設置され、交易で鳥取藩の経済を支えました。明治時代に入ってからはさらに発展し、明治4年頃には港近くに1000軒もの商店が軒を連ねたそうです。以降、現在に至るまで、境港は日本の重要な国際貿易港として位置づけられています。

 近年では、生クロマグロやカニの水揚げ量で日本一を記録するなど、境港の名前は水産都市としても広く知られています。また、境港がある境港市は「ゲゲゲの鬼太郎」の作者・水木しげるさんの出身地でもあり、妖怪のブロンズ像が並ぶ港近くの「水木しげるロード」には、国内外から観光客が訪れています。
JR境港駅近くの境港の様子。駅近くにはフェリー発着所や「水木しげるロード」などもあり、平日でも観光客でにぎわっています。
 今回、つり環境ビジョンコンセプトに基づくLOVE BLUE事業のひとつ、水中クリーンアップ活動が行われたのは、境港の一画である夢みなと公園内の半円状の桟橋とマリーナの防波堤付近です。初日は雹混じりの雪が舞うなかでの活動となりましたが、レポートを行った2日目には快晴となり、地元の方々や釣り人が見守るなか、夢みなと公園内の桟橋付近の水中クリーンアップ活動を行いました。

「この桟橋は、1997年に夢みなと博覧会が行われたとき、イルカショーが行われた場所。今は釣りを楽しむ場所として、県外からも来る人が多いな。時々、ここにはイルカがやって来るんだよ。わしも、何度も見たよ」
 そう教えてくださったのは、水中クリーンアップ活動を見守っていたご年配の地元の方です。
「ここは船酔いせずに海の上で釣りができるし、桟橋の正面に伯耆富士(大山)も見える。実に気持ちがいい場所なんだよ。今の時期に釣れるのは、サゴシ(サワラの子供)。刺身でも塩焼きでもうまいな。4月になったらイカが釣れる。いまから楽しみだね。この桟橋は地元の釣り好きが集まる憩いの場。だから、皆さんみたいな人たちが海をきれいにする活動をこの桟橋で行うことは、とてもいいことだと思うよ」
夢みなと公園内にある半円状の桟橋の様子(夢みなとタワーより撮影)。「魚釣り桟橋」として親しまれ、県内外から釣り好きが集まります。
桟橋から夢みなと公園のシンボル「夢みなとタワー」を見上げた様子。桟橋では平日にもかかわらず、多くの人が釣りを楽しんでいました。
 この日、釣りをするため桟橋を訪れたという男性は、水中に潜るダイバーを見ながら話をしてくださいました。
「この桟橋には良く来るよ。休みの日には家族連れも多く、ここは地元の人が集まるんだよ。だから桟橋の下には、ゴミもあるかもしれないと思っていたんだ。こうやって海の中を清掃してくれるのは、ありがたいね」
桟橋に釣りをしに来た方々が、水中クリーンアップ活動のため、ダイバーが海の中に潜る様子を興味深く見ていました。
 今回、鳥取県で初の実施となった水中クリーンアップ活動について、境港を管理している境港管理組合 港湾管理委員会 事務局総務課造営係 係長の川本英生さんにお話をお伺いしました。
「境港は国内でも有数の水揚げ高を誇る漁港である一方、コンテナ船やクルーズ船などが行き交う日本海側の重要拠点港でもあります。毎日多くの船が入出港しますので、安全管理も大変です」

 2016年は374万7,659tもの取扱貨物量を記録した境港は、中国や韓国、ロシアへの「北東アジアゲートウェイ」の役割を果たしています。そして境港は、今後ますます発展していくそうです。
「今回、水中クリーンアップ活動が行われた外港竹内南地区は、平成9年の夢みなと博覧会後の有効活用を目的に、桟橋前を緑地化するなどの整備が行われたエリアです。特に夢みなと公園は、現在、観光名所としてはもちろん、地元の方々の憩いの場所としても活用いただいています。そして境港は、これからますます発展していきます。平成31年には、水中クリーンアップ活動をしていただいている桟橋の近くに、大型旅客船が停泊できる大型ターミナルが完成する予定なんです」
JR境港駅に隣接する「みなとさかい交流館」。可愛らしい妖怪のイラストが出迎えてくれます。境港管理組合はこの建物内にあります。
 発展し続ける境港とその周辺では、環境保護に関する意識も高く、積極的に清掃活動が行われているそうです。
「境港の西側に広がる汽水域の中海(なかうみ)は、ラムサール条約湿地に登録されたこともあり、頻繁に海岸でのゴミ拾いなどが行われています。また、漁港では漁協の方々が、海岸添いの道路では自治会の方々が、それぞれ清掃活動をなさっており、毎週末ごとに港のどこかで環境保護活動が行われていると言ってもいいほどです。また、境港清港会というものがあり、保有する清掃船が不定期で湾内の漂流物を回収しています」
桟橋周辺でも、環境保護を啓発する看板などが多くありました。境港では、地元の方々の港周辺の環境を守る意識の高さを感じられました。
 港周辺の環境保護意識がとても高い境港ですが、海の中のクリーンアップを頻繁に行うことは難しい、と川本さんはお話しくださいました。
「船が行き交う港の中は、海底が浅くならないように浚渫(しゅんせつ)※を行いますので、その際にゴミを取ることができます。しかし、今回、清掃いただいている桟橋付近は浚渫することがありませんので、きれいにしていただけるのは本当にありがたいですね。水中クリーンアップ活動がどのように行われるのか、私もとても興味があります。あの桟橋は、鳥取県のなかでも特に伯耆富士がきれいに見える場所ですから、桟橋も海のなかも、きれいであって欲しいですね」
桟橋から見える伯耆富士(大山)の様子。雄大で美しい姿です。
 夕方、水中クリーンアップ活動を行う桟橋に戻ると、この日最後の潜水を終えたダイバーが、陸上スタッフのサポートを受けて順番に陸へ上がってきたところでした。ふと目を上げると、美保湾の向こうに冠雪の伯耆富士が顔を出していました。その穏やかで美しい佇まいは、まるでダイバーと釣り人たちを優しく見守ってくれているかのようにも思えました。ちょうど散歩にやってきた地元の方や、釣り人までもが手を止めて活動の様子を見守ってくださいました。なかには、海から上がってきたダイバーに「お疲れさま」「海の中は冷たくなかったかい?」と、声をかけてくださる方もいらっしゃいました。
今回の水中クリーンアップ活動では、興味をもってくださった地元の方々が多く、たくさんの温かい声をかけてくださいました。ありがとうございました。
 今回、境港・夢みなと公園内の桟橋での水中クリーンアップ活動は、地元の多くの方に見守られながら活動を行うことができました。時折、温かい言葉をかけていただき、大きな励みになりました。水中クリーンアップ活動は、これからも地元の方々に喜んでいただけるよう、水辺の環境保全に取り組んでまいります。

次回のレポートもお楽しみに!
参考/境港管理組合ホームページ http://sakai-port.com
※浚渫(しゅんせつ): 港湾・河川・運河などの底面を浚(さら)って土砂などを取り去る土木工事のこと。
次回をお楽しみに
2017.3.14
大分県別府市別府港
LOVE BLUE
~地球の未来を~
大分県別府市別府港
日時平成29年2月7日(火)〜 11日(土)
豊富な湧出量と良質な泉質として知られる別府温泉。国内はもちろん、外国の観光客にも人気です。その別府温泉の海の玄関口といえる別府港で、2月7日から11日までの5日間、つり環境ビジョンコンセプトに基づくLOVE BLUE事業のひとつ、水中クリーンアップ活動を実施しました。そこで今回は、大分県では初めての実施となる水中クリーンアップ活動の様子をレポートいたします。
「寒いなか、ありがとう」
地元の方の感謝の言葉を励みに
 三方をぐるりと山で囲まれた扇状地の別府市。山を背に市街地を見下ろすと、町のあちこちからもうもうと立ち上る湯けむりの向こうに、青く穏やかな海が広がっています。この美しい温泉地・別府の名は、江戸時代にはすでに国内で広く知られていたそうで、春になると多くの湯治客が湯治船で別府を訪れていたと言われています。その情景から、「湯治船」は春の季語にもなっています。

 そんな別府の海がさらに大きく発展したのは、明治初頭のこと。当時知事であった松方正義が、国内有数の温泉地である別府に本格的な港を作ることを考案。明治4年に楠港が竣工すると、明治6年に大阪と別府を結ぶ船が就航。以後、四国、関西への航路が次々と開かれ、それまで以上の観光客が訪れるようになり、別府は観光地として大きく発展していきました。
 第二次世界大戦の戦禍を免れた別府市は、昭和26年、国際観光都市を目指して大型フェリーが停泊できる港を起工。重要港湾の指定を受けた別府港は、現在では別府市の海岸線のほとんどを占める、日本を代表的する国際観光港となっています。
湧出量日本一※と言われる別府。街のあちこちから湯けむりが立ち上っています。別府温泉では、温泉の地熱を利用した砂湯も楽しめます。
別府港のなかでも最初に作られた楠港の跡地には、記念碑とともにかつての石垣が残っていました。
 今回、水中クリーンアップ活動が行われたのは、別府港内の4カ所です。レポートを行った2月8日は、別府交通センター前での水中クリーンアップ活動でしたが、とても寒く、背後にそびえる鶴見岳もうっすらと雪化粧をしていたほどです。それでもプロダイバーの皆さんは「ドライスーツを着ていますので、寒くありません。大丈夫ですよ」と笑顔で答えてくれました。そして、陸上スタッフのサポートのもと、いつも通り安全第一に、岸壁から海へ入っていきました。
気温も低く冷たい北風が吹くなかでしたが、ダイバーたちはいつもと変わりなく、水中でのクリーンアップ活動に取りかかりました。
 初日に水中クリーンアップ活動を行った別府観光港は、大型フェリーが発着する港湾施設です。水中クリーンアップ活動は、事前の作業計画を万全に、何よりも安全を第一に、作業を行っています。

 別府港の管理を担当する大分県別府土木事務所管理課副主幹の佐藤元一さんは、水中クリーンアップについてこう話してくださいました。
「実は、私が釣り好きということもあって、LOVE BLUEの水中クリーンアップ活動のことは知っていました。また、私自身、海を守るために清掃活動をすることにはとても関心がありましたので、今回のお話をお受けさせていただくことにしました。別府の海は、この時期が一番澄んで美しいのですが、玄界灘からの北風が山を超えて吹いてくるため気温が下がり寒いのです。夜は鶴見岳からの吹き返しの風も強いですしね。だから今回、水中クリーンアップ活動を行う皆さんの様子を拝見し、『寒いなか、申し訳ないなあ。でも、ありがたいなあ』と強く思いました」
今回、別府港に関するお話を聞かせてくださった、大分県別府土木事務所管理課副主幹の佐藤元一さん。
 国際観光港である別府港は、規模が大きく、観光やビジネスの重要な港。しかし同時に、地元の方々にとっては愛着のある、とても大切な場所なのだと、佐藤さんが教えてくれました。
「今回クリーンアップしていただいている別府交通センター前は、地元の方の散歩コースです。海を眺めながらのんびりと歩く地元の方々を良く見かけますね。関西や四国へ行くときは、この港からフェリーを利用する方も多いですよ。地元の高校が甲子園に出場する際は、応援団がフェリーで関西に向かうんです。このときは盛り上がりますね。また逆に、関西、四国、九州各地や名古屋をつなぐフェリーで、観光客の方が別府にたくさん来てくれます。別府港は、まさに『別府の海の顔』。地元の方々も大切な港を守ろうという意識が強く、港の草刈りやゴミ拾いをしたり、港町ならではの環境教育として海岸清掃を行う中学校もあります。みんなこの港を大切に思っているのです」
広大な別府港の中で、今回は別府交通センター前と別府観光港などで水中クリーンアップ活動を実施しました。
 地元の方々に愛されている別府港ですが、2016年4月に発生した熊本・大分地震の際には、大きな影響を受けました。
「震度6弱の地震により、岸壁など港湾施設にも亀裂が入りました。しかしありがたいことに、船の発着には問題なかったため、隣の大分港が支援物資等の輸送拠点となり、別府港は補給船の待機や、国土交通省の船舶や資材を積んだ船の荷揚げ等に使用されました。このときは、港の存在が誇りでしたね。なお、地震でできた亀裂等は、すでに修復が終わっています」

 開港以来、時代ごとにさまざまな役割を果たしてきた別府港は、今後さらに大きく変化していく予定だそうです。
「2016年4月に北九州市と宮崎市を結ぶ東九州自動車道が全面開通し、九州の主要都市間の移動時間が大幅に短縮されました。さらにこの陸路と海路を結ぶことで、九州内の循環型ネットワークが形成されます。それに伴い、大分県知事は、関西や四国と結ばれている県内の港を『九州の東の玄関口』と位置づけ、ここ別府港の石垣地区を再編成する動きが始まっています。別府観光港の付近は、今後さらにフェリー客と別府市民の双方が集まる場所となっていくはずです。今回、その別府観光港の水中クリーンアップを行っていただいたことで、港を利用する多くの方々に対して「別府港の環境保護」に関する啓蒙活動につながればと思っています」
温泉地として人気を誇る別府の街。駅前では「別府観光の父」と慕われる油屋熊八氏の銅像が観光客を迎えてくれます。
 長い歴史を誇り、温泉観光地・別府の"海の顔"である別府港。今回は、地元の方々に愛されている別府港をきれいにするお手伝いをさせていただきました。水中クリーンアップ活動は、これからも水辺の環境保全に取り組んでいきます。

次回のレポートもお楽しみに!
参考文献/
「目で見る別府百年」堀藤吉郎・志多摩一夫編著(別府市郷土文化研究会)
「別府国際観光港修築計画概要」(大分県別府市/編)
「別府国際観光港の修築に就いて」(大分県別府市/編)
※: 湧出量とは、1分間に源泉から採取できる湯量のこと。自然に湧き出る量、掘削した量、ポンプなどで汲み上げている量の全てを合計すると、湧出量は、大分県の別府温泉が日本一となります。
次回をお楽しみに